JストリームがMSワラントするってよ
こんにちは
9/30にJストリーム(4308)がMSワラントで増資を行うと発表がありました。
株初心者の私には「MSワラント?なにそれおいし(ry」なので、調べてみました。
※この記事は株式投資初心者により書かれたものです。投資判断などはご自身で行ってください。
MSワラントとは?
なぜMSワラントをやるのか
MSワラントは、企業の資金調達の方法のひとつです。
上場企業が資金調達をする方法は、一般的に2種類あります。
1つは、新たに株を発行して投資家から資金を集める「公募増資」、もう1つは「銀行からの借り入れ」です。 しかし、赤字が続く企業は信用力が落ちているので、これらの方法では資金調達ができません。そこで、やむを得ず「特典をつけて安くするから、株を買ってください!」といって、買い手(引受先)がお得になる条件をつけた、株を買う権利を発行します。これが「MSワラント」です。
借入金の返済、事業投資や運転資金など、お金を確保したいけど、だれもお金を貸してくれないから、引受先(証券会社)勝ち確条件で株を買ってもらうことで資金を調達するってことですね。
MSワラントによる資金調達は、バイオ系企業でよくみられるそうです。
コロナワクチンの開発失敗などのニュースも聞きますように、創薬は成功するかわからないのに多額の費用が掛かりますからね…。
ちなみに、公募増資もMSワラントも新株を発行していますが、
公募増資の場合は、新株を一度に大量に発行し、一度に一定の額を調達するため、安定した資金調達ができます。
ただし、流通する株式の量が増え、投資家の議決権比率が低下します。(株式の希薄化)
対して、MSワラントは、まず新株取得の権利を発行し、その後機関が権利を発動することで徐々に新株を発行します。一度に大量の新株を発行するわけではないので、株式の希薄化は穏やかですが、調達できる資金額が変動するため、資金調達としては不安定です。
MSワラントの仕組み
上記で「MSワラントとは資金調達の方法のひとつ」と紹介しましたが、仕組みとしては、「行使価格修正条項付新株予約権(Moving Strike Warrant)」というものになります。
なんか漢字が難しいんですが、平べったく言うと「市場の株価より常に少し安く新株を取得できる権利」って感じでしょうか。
このMSワラントの仕組みにより、引受先勝ち確(既存株主ほぼ負け)状態になります。
具体的な流れを、先ほどの「やさしい株のはじめ方」さんからお借りしてきました。
それでは、MSワラントを発行する具体的な手順の例を見ていきましょう。
このように、証券会社は最終的に60万円分の利益を確実に手に入れることになります。
新株を安く取得してすぐ売却すればそれだけで利益が出るのに、空売りまで仕掛けられるなんて…。既存株主は泣くしかないですね…。
さらに、引受先は取得した株をどんどん売却していってしまうため、それによっても株価は下がり続けます。
(MSワラントって既存株主死亡イベントなんだ…)
MSワラントにより株価はどうなるのか
上記の通り、引受先の空売りや取得した株の売却、既存株主の売却によって、一般的にMSワラントの発行(の発表)で株価は急落することが多いです。
MSワラントの解説はこちらのサイトも分かり易かったです。
Jストリームの場合
Jストリームってどんな会社?
さて、本題のJストリームですが、ここは動画配信が強みの会社です。
動画配信そのものもですが、そのためのコンテンツ作成やコンテンツ視聴のためのウェブサイトの作成・運用なども行っており、動画配信に関わるいろいろな業務をやってるようですね。
新型コロナ感染症により、株主総会などを動画配信で行うようになり、世の中のニーズに合っていることや東京オリンピックの際の期待感も含めて株価がどんどん上がっていった印象です。
JストリームがMSワラントをやる目的
JストリームがMSワラントを発表した際に、見やすい補足説明資料を出していたので持ってきました。
ちょうど9/30は、子会社のビッグエムズワイがアズーリ社を子会社化(Jストリームの孫会社化)したと発表がありました。
アズーリ社は製薬関係のコンテンツ作成に強い会社だそうです。
上記の資料からも、放送業界、医療業界には力を入れてるんですね。
こんな感じで、Jストリームは以前から、M&Aや事業提携を積極的に行ってきていたようです。結果的に、利益があがり、自己資本は伸びているものの、現金は伸びておらず減少していると。
当社グループでは、働きやすさに配慮したリモートワーク制度やフレックス制、時短勤務制度、育休制度の積極運用など、魅力ある職場づくりを通じて優秀な人材の確保育成に注力しておりますが、ネットワークや動画領域の技術者は一般のエンジニアに比べても更に採用が難しく、育成にも時間を要することもあり、慢性的に人員は不足している状態です。こうした人的リソースの確保を目的としたM&A及び資本業務提携についても追及してまいります。
また、上記のとおり、当社は過去の自己株式の取得を通じて自己株式を保有しているものの、未実施となったものも含め、これまでのM&A及び資本業務提携における当社の経験から、相手先企業は株式交換による手法ではなく現金を対価とする手法を希望するケースがほとんどであり、手元の資金の大小や機動的な資金調達ができるか否かが迅速に案件をクローズできるか否か、相手先企業やM&Aを目論む競合会社との競争や交渉力に影響することがあると考えております。したがって、潜在的なM&A及び資本業務提携の機会を逸しないためにも、あらかじめ当該資金を確保しておくことが重要と考えており、本新株予約権の発行により資金調達を行うことが必要であるとの判断に至りました。
Jストリーム 第三者割当による行使価額修正条項付第1回新株予約権の発行に関するお知らせ
つまり、
今後も動画のニーズがあるから、事業を拡大していきたい。そのためにはエンジニアが必要だけど、育成に時間がかかるため常に人員不足です。だからM&Aや資本業務提携をしていきたい。
けど、それらをやるためには、結局手元の現金が必要。今後交渉を有利に進めるためにも資金調達としてMSワラントするね!
ってことかな。
ワラントの概要
ワラントの概要は以下の通りです。
Jストリームの判断で、権利を行使できない期間が設定でき、権利が実行されて交付する株式はJストリームの自己株式を充て、新規には発行しないようです。
大和証券は、この権利行使で取得した株式を長期保有する意思はなく、株価や市場の動向を見ながら適宜売却するとのことでした。
なんでMSワラント?
資金調達は、M&Aや資本業務提携の費用調達のため、というのはわかりましたが、なんでMSワラントなん?って感じですよね。
これに関しても、補足説明資料に載っていました。
Jストリーム的に
- すぐに資金調達できる
- 株式の希薄化をある程度コントロールできる
- 税務健全性を保てる
というのが理由のようです。
MSワラントの説明で、銀行が融資してくれないから仕方なくワラントを行う、と記載しましたが、Jストリームの場合は業績も問題ないですし、借入しようと思えばできると思うんですけど、どうでしょうか。
Jストリーム【4308】の業績・財務推移[通期・半期・四半期]|株探(かぶたん)
Jストリーム的には、「取り急ぎ現金用意しときたい!」「いざというときの為に借入の選択肢を残しておきたい」という感じなのかと思ったんですが、どうでしょうか。
あーPS5当選した時の為にお金用意しておきたいけど、余裕ないなー、バイト(公募増資)は自分の時間が減るし時間かかるし、カードローン(借入)はしたくないし、そうだ、家のものメルカリで売ろう。って感じ?
今のところ、アズーリ社以外のM&Aの予定などは無いようですが、すぐに動ける準備はしている感じ、すでに狙っている企業があるのかな。
ここまでの印象で、今回のJストリームのワラントは上記で説明したMSワラントのような、絶望イベントでもないのかなと感じたのですがどうなんでしょうか。
今後、Jストリームの株価はどうなるのか
しばらく前から、株価が急に頭打ちになった感じがあったんですが、MSワラントの情報が流れてたのかもしれないですね。
9/30の大引けが3,605円、その後ワラント発表で、PTSでは3,300円台まで下がりました。
株は人気投票といわれるように、今回のワラントの中身がそんなに悪くなかったとしても、印象は良くないし下がるのはしょうがないかな…。
ここが上がるのを待ってる間に他の銘柄で利益が上げられるなら、そっちに資金回しますしね。
個人的には、他の企業分析ができていなくて動きにくいことや、10月末の決算、資金調達の成果なども見ようかなと思って、ホールドしてます。
※この記事は株式投資初心者により書かれたものです。投資判断などはご自身で行ってください。
また、記事に誤りがありましたらコメントなどで教えていただけるとありがたいです。